イマジンファーム・アップルトマト オリジナル農法でのトマトの作り方
イマジンファーム・アップルトマトのあるスギです
今日は10月15日です。暑さも和らぎ過ごしやすい季節になって来ました。
私の農場のまわりは田んぼで囲まれており、稲刈りが最盛期です。たわわに実った稲穂が首を傾げ、黄金色の輝く田園風景は、まさに日本の原風景だなと実感します。
小学生の頃は、稲刈りの後の田んぼで友達と走り回ったり、稲藁を積み重ね、バク転の練習したり、プロレスしたり、格好の遊び場所になっていました。稲刈り後の、土と藁と埃っぽさが混ざったような匂いが好きで、日が暮れるまで夢中で遊んでいました。
一番好きな季節です。
私の住む地域でも高齢化に伴い米づくりをやめる人が多く、耕作放棄地が増え続けています。少子高齢化社会だし、米の価格も安く稲作だけで農業経営していくことが難しいとは言え、なんか悲しい気持ちになります。
今年は令和の米不足だとマスコミで騒ぎ出し、スーパーに行っても棚からお米が消えていました。
マスコミに踊らされて、不安を煽られ買い占めに走るのではなしに、もっと長期的に米づくりの未来に対して真剣に考えていかないと、国民食であるお米が食べられなくなる時代が来るのも、そう遠くはなさそうです。
政府はアメリカや中国の顔色ばかり伺い、国民の生活や明るい未来を築いていく気は全くありません。日本をアメリカの廃棄処分場にすることに夢中になっているだけです。
私達一人ひとりが問題意識を持ち、本気で日本の米作り、農業を守っていかないと日本は崩壊し、外国の植民地になっていくでしょう。
いや、もうすでに日本の中枢は外国勢に乗っ取られています。政府、経済界、教育界、医療界、マスコミ・・・。
日本が本当の独立国になるためには、国家運営の根幹である農業を復興させ、食料自給率100%を達成することと、核武装することだと思います。しかし、実現は到底無理でしょう。
日本の国土の中で、彩り鮮やかな四季を感じながら、旬の食材を味わい、人情豊かな人々と何気ない日常を今後も送っていきたいなら、国民一人一人のが政府に頼らず、自立し、自分や家族の人生、生活、将来を自分たちで作り上げていく必要があると思います。
具体的な方法は人それぞれでしょうが、国民全てが大なり小なり何かしら農業に関わることと、精神的な価値観の向上が大事になってくると思います。
明治維新後の文明開化も敗戦後の復興も全て受け入れ、乗り越えてきた日本人です。これからどのような未来が来ようとも、必ず素晴らしい日本を築き上げていくだろうと思います。
日本の宝物である素晴らしい田園風景を守っていきましょう。
今回は、トマトを上手に栽培する上で大事になってくる、栄養成長と生育成長についての知識と、そのバランスの取り方について書いていきたいと思います。
栄養成長
トマトの栄養成長は、植物が葉、茎、根といった非生殖的な組織を発達させ、光合成を通じてエネルギーを蓄え、植物全体の成長を支える重要な段階です。栄養成長がしっかり行われることは、健康な花と実をつけるための基盤を作ることになります。
葉の成長
葉は植物がエネルギーを作り出すために必要な器官です。光合成によって、光エネルギーを化学エネルギーに変え、炭水化物や他の有機化合物を生成します。
茎の成長
茎は植物全体の構造を支え、葉で作られた栄養分を根に運び、根から吸収した水分や養分を葉に運ぶ役割を果たします。
根の成長
根は土壌から水分や必要な栄養素(窒素、リン、カリウムなど)を吸収し、植物全体に供給します。
光と窒素の重要性
トマトは日光を好む植物で、栄養成長には1日6~8時間以上の日照が必要です。十分な日光を浴びると、光合成が活発になり、エネルギーが効率的に生成されます。
栄養成長期には、特に窒素(N)が重要です。窒素は葉や茎の成長を促進し、植物全体の健全な発育をサポートします。一方で、窒素過多になると、葉や茎の成長ばかりが進み、花や実の発育が遅れることがあります。
栄養成長期が十分に進むと、植物は次の生殖成長段階に入り、花や果実の発達に移行しますが、この移行時点で栄養成長が不十分であると、果実の品質や収量に悪影響が及ぶことがあります。
生殖成長
トマトの生殖成長は、栄養成長の後に始まる段階で、主に花を咲かせ、実をつける過程に関わる重要な成長ステージです。この時期には、植物が光合成で作ったエネルギーを生殖器官(花、果実)に集中させ、繁殖を行います。生殖成長がしっかり行われることで、良質な果実を収穫することができます。
花芽の形成
花芽の形成は、トマトが生殖成長に入ったことを示す最初のサインです。茎の先端や葉腋(葉と茎の間)から花芽が形成されます。栄養成長が十分に進み、光合成によるエネルギーが十分に蓄積されると、トマトは花芽を形成します。この段階では、適切な栄養と日照が重要です。特に、窒素を控えめにし、リン(P)とカリウム(K)を多めに与えることで、花芽の形成が促進されます。
開花と受粉
トマトの花は、自家受粉が可能ですが、風や昆虫が受粉を助けることもあります。しかし、確実に結実させるには、トマトトーンを使用するのが一般的です。受粉が成功すると、花は果実を形成する準備に入ります。
結実(果実の形成)
受粉が完了すると、子房が膨らみ、果実の形成が始まります。これはトマトの生殖成長の中心的な段階であり、エネルギーが果実の成長に集中します。この段階での適切な水分と栄養供給は、果実の大きさや品質に影響します。
果実の肥大化
果実の肥大化は、結実後の次の段階で、果実が急速に大きくなります。光合成によって作られたエネルギーが果実に送り込まれ、果肉や果汁が充実していきます。この段階では、カルシウム(Ca)やカリウム(K)のバランスが重要です。特にカルシウム不足は「尻腐れ症」を引き起こし、果実の品質を損ねることがあります。水の供給も重要で、過剰な乾燥や急な水やりは果実の割れ(裂果)を引き起こすことがあるため、一定の水分管理が求められます。
果実の成熟
果実が成熟するにつれ、色、味、糖度が変化していきます。これはトマトが種子を成熟させる段階です。最初は緑色の果実が、徐々に赤やオレンジに色づきます。これはエチレンという植物ホルモンの働きによるもので、果実の成熟を促進します。熟した果実は糖度が高くなり、風味や香りも良くなります。逆に、早採りすると、酸味が強く、味が未熟なままになります。
生殖成長における施肥管理
生殖成長期には、栄養のバランスが重要です。特に以下の栄養素が重要です。
・リン(P) 花芽形成や開花、結実を促進します。リンが不足すると、花や果実の発育が不良になります。
・カリウム(K) 果実の肥大化や、病害虫耐性に寄与します。カリウムが不足すると、果実の品質が低下します。
・カルシウム(Ca) 果実の細胞壁を強化し、品質を向上させます。カルシウムが不足すると、果実が軟化したり、尻腐れが発生しやすくなります。
温度と光の影響
トマトの生殖成長は、昼間の温度が20~25℃、夜間が15~20℃の範囲で最も活発になります。温度が高すぎると、受粉が不良になり、結実しなくなることがあります。また、十分な日照が必要です。日照不足は花の形成を阻害し、結実の確率が下がる原因となります。。
生殖成長を順調に進めさせることが、トマトの収穫量や品質の差になって現れてきます。
栄養成長から生殖成長への切り替えのポイント
植物の成長段階
苗期から栄養成長が進み、本葉が6~9枚程度展開した頃が、花芽が形成される目安です。栄養成長から生殖成長に切り替わる最初のサインは、花芽の形成です。
施肥管理
窒素は栄養成長を促進しますが、窒素過多になると生殖成長に切り替わるタイミングが遅れ、葉や茎の成長が過度に進んでしまいます。そのため、栄養成長期には窒素を十分に供給しつつ、花芽形成が始まるころには窒素肥料を減らし、生殖成長を促すことが必要です。
リン、カリウム、カルシウムの施肥量を増やして、花芽形成や開花、果実の結実、肥大を促進させます。
芽かき
トマトの栄養成長が強すぎる場合、芽かきを行い脇芽を取り除くことで、エネルギーを生殖成長に集中させやすくなります。芽かきによって植物が栄養を花や果実に集中させ、栄養成長から生殖成長に切り替える助けとなります。脇芽が過剰に成長すると栄養が分散されてしまうため、定期的に脇芽を取り除き、主茎や花芽にエネルギーを集中させることが重要です。
水分ストレス
水分ストレスがあると、植物は生殖成長に切り替わりやすくなることがあります。しかし、過度のストレスは植物の成長を妨げ、逆に花芽形成が遅れる場合もあるため、適切な管理が必要です。
光合成、C/N率
日光にたっぷり当て光合成を促進させ、トマト体内の同化産物(炭水化物)の量を増やします。トマト体内の窒素量より炭水化物の量が相対的に増えると生殖成長に傾いてきます。
窒素の量と炭水化物の量は、多すぎても少なすぎても順調に生育しません。生育ステージに合わせたC/N率の管理とバランスが大事になってきます。
これらの要因をバランスよく管理することで、トマトはスムーズに栄養成長から生殖成長へと移行し、健康な花と果実をつけることができます。
栄養成長と生殖成長のバランス
トマトの栄養成長と生殖成長のバランスは、トマトの健全な発育と高品質な果実の収穫に大きな影響を与えます。この2つの成長段階のバランスをうまく保つことで、強い茎や根、十分な葉が生殖器官(花と果実)の発達を支え、結果として健康な果実が得られます。
バランスの崩れの影響
・栄養成長が強すぎる場合 窒素過多などで葉や茎が過度に成長すると、花や果実に十分なエネルギーが行き渡らず、実がつきにくくなったり、果実が小さくなったりします。この状態では、葉は青々として元気ですが、果実の数が少なかったり、品質が劣ることがよくあります。
・生殖成長が早すぎる場合 逆に、栄養成長が不十分で、生殖成長が早すぎると、植物はまだ十分に発育していないため、果実が小さく、病気に弱くなります。葉や茎が弱いと、後に実を支える力も不足します。
バランスを保つための管理ポイント
トマトは栄養成長と生殖成長が同時進行で進んでいきます。そのバランスを上手く取りながら栽培することが、品質の良いトマトを長く収穫するために大事な要素になってきます。
バランスを良い株を作る上で最も重要になってくる時期は、苗を定植してから、3段目の花が開花するまでの間です。
苗の段階から、水と肥料を控え気味で与え、過剰に成長しないように節水管理して育てていきます。
節水管理して灌水を控えることで、根を深く広く土壌中に張り巡らせ、同時に水分ストレスを与えることで、生殖成長に導いていきます。
定植した後も節水管理を続け、1番花が咲いたらトマトトーンを散布して確実に結実させていきます。(結実しなかったら、栄養成長が続き、より株が大きく暴れていきます。)
その後も苗が全体的に少し萎れてきたら、少量灌水を続けます。しかし、節水管理をしすぎて株自体が弱らないようにしていく必要があります。
株全体が貧弱になってきたり、葉の色が薄くなってきたら、薄めの肥料を与えていきます。
3段目の花が咲き、1段目の果実がピンポン玉サイズになってきたら、果実の肥大期に入り、急激に水と肥料の要求量が増えてきます。灌水量を増やしても栄養成長に傾かなくなり、栄養成長と生殖成長のバランスが取れた、安定期に入ります。
その後は、将来的にどういうトマトを作りたいかによって作り方が変わっていきます。
多収をめざし出来るだけ多く果実を実らせ、その着果負荷に耐えられる株を作るために水と肥料をたっぷり与えて栽培する方法。
高糖度のトマトを作るために、3段目以降も節水管理を続け水分ストレスを与えてトマトの糖度を高め、高単価で販売する方法。
まだまだ色々栽培方法がありますが、どの栽培方法でも3段目までの作り方は基本一緒です。
まとめ
どんな栽培スタイルを採用するにしても、栄養成長と生殖成長のバランスを上手く取ることが、トマトを作る上で最も大事な栽培技術です。
そのためには、毎日よく観察し、日々変化する微妙な変化を感じ取っていくことが必要になります。
特に3段目の花が咲くまでの管理が大事になって来ます。理想のトマトの姿に仕上げていくのは難しいことですが、経験と勉強を重ねていけば容易に辿り着けると思います。
皆さんも是非とも、栄養成長と生殖成長を上手くコントロールして、理想のトマトを作ってみてください。