ビートルズの宇宙を旅して (3)
ビートルズと笑い、遊び心
イマジンファーム・アップルトマトのあるスギです。
今回は私が個人的に最もビートルズらしいところだと思う
・バランス間隔
・変化、進化
・笑い、遊び心
の内ビートルズと笑い、遊び心について深ぼっていこうと思います。
私が人類史上最高の天才だと思うのは、モーツァルトです。彼の音楽的才能は勿論ですが、一番すごいと思うのは、作品全体に流れる、自由さと遊び心です。天衣無縫、自由自在、融通無碍、純粋なる魂の飛翔・・・。
俗世間の喧騒や煩わしさを、笑いと遊び心で煙に巻き、麗しのメロディーと軽快なリズムで心を癒し、官能的なハーモニーは精神的な高みへと我々を誘います。
またモーツァルトは、非常に速いペースで、かつほとんど修正を必要としない状態で作曲を行ったことでも知られています。彼の原稿にはほとんど書き直しがなく、最初に書いたメロディーやハーモニーがそのまま完成作品として残ることが多かったとされています。これは、彼の頭の中で既に完成された音楽が鳴り響いていたことを示唆しています。
天界に鳴り響く音楽を直に感じ取り、それを寸分違わず採譜する才能を持っていました。
まさに天才です。
ビートルズもモーツァルトと同じような、笑いと遊び心を持っていました。世界を熱狂と笑いの渦で巻き込み、既成の常識、価値観を笑い飛ばし、遊び心で音楽と文化を変革し、60年代の若者の心を精神的に解放しました。
ではビートルズと笑い、遊び心について少し深ぼっていこうと思います。
ビートルズもモーツァルトも笑いと遊び心に満ち溢れているよね。
インタヴュー
ビートルズがデピューし世界的に注目を集めたのは、彼らの音楽だけではなく、インタビューやマスメディアでのユーモアを含んだ受け答え、ウイットに富んだ会話、既存の若者像を覆す大胆不敵で生意気なスタイルも大きな要因でした。
彼らが残したインタビューでのやりとりを少し紹介したいと思います。
・アメリカ上陸後のインタヴュー
(記者) 「ベートーヴェンについてどう思いますか?」
(リンゴ) 「好きだよ。特に歌詞がいいね。」
(記者) 「ファンレターをあなたが一番多くもらうのはなぜだと思いますか?」
(リンゴ) 「分かんないな。多分俺宛に書く人が多いからかな。」
(記者) 「何故ドナルドダックが好きではないんですか?」
(リンゴ) 「何言ってるかさっぱりわからないからだよ。」
(記者) 「ポール、あなたは私の息子によく似てるわ。」
(ポール) 「アンタは全く俺の母さんに似てないぜ。」
(記者) 「あなたの服は誰が選ぶのですか?」
(ジョン) 「自分で選ぶよ。アンタの服は?」
(記者) 「夫です。では、気が進まないのはどんな話題ですか?」
(ジョン) 「アンタの旦那の話題。」
(記者) 「アメリカで一番嫌いなものは何ですか?」
(ジョン) 「お前だよ。」
(記者) 「アメリカからもって帰りたいものありますか?」
(ジョン) 「ロックフェラー財団。」
長髪(マッシュルームカット)をいじられて
(記者) 「髪はいつ切るの?」
(ジョージ)「昨日切ったよ」
記者会見で平気でタバコを吸い、質問をはぐらかし、茶化し、ジョークで記者をやり込めてしまう。自由奔放でユーモラスな4人にアメリカのマスメディアは完全に虜にされました。
・ロイヤル・ヴァラエティー・ショウでのジョンのスピーチ
(ジョン)「安い席にいらっしゃる皆様は拍手をお願いします。そのほかの方は宝石をジャラジャラ 鳴らしてください。」
王室を軽く皮肉ったジョンのジョークは拍手喝采を浴び、ビートルズ人気はさらに加速しました。
・大英帝国勲章(MBE)を授与された時の発言
(ジョン)「MBEは戦車を操縦して、戦争に勝たないと貰えないものだと思ってたよ。」
既成の常識や旧態依然とした古臭い価値観を笑い飛ばし、自由で自立した若者像を作り上げました。
ブライアン・エプスタインがビートルズのマネージャーになる決意をした理由は、彼らの音楽はもちろん、人間的魅力と知的で皮肉たっぷりのユーモアでした。
音楽プロデューサーのジョージ・マーティンもビートルズと一緒に仕事をしようと決めた理由は、彼らの音楽よりも、ユーモラスで明るく、活気があり、頭の回転が早く、会った人全員を彼らのファンにしてしまう所でした。
・レコーディングでのエピソード
録音した楽曲をビートルズに聴かせた後
(ジョージ・マーティン)「何か気に入らないことあったら言ってみて。」
(ジョージ・ハリスン) 「あんたのネクタイが気に入らないね。」
ビートルズの音楽だけでなく、ユーモアやジョークが当時の世の中に与えた影響は大きかっただろうね。
音楽
もちろん彼らは音楽に於いても、笑いと遊び心を十二分に発揮しました。
前期
レコーディング技術がまだ未熟だった初期の頃でも彼らの溢れんばかりの創造性、常識にとらわれない発想、遊び心は曲作りの至る所で垣間見られます。
・斬新で独特のコード進行 「シー・ラブズ・ユー」、「抱きしめたい」、「ゼアズ・ア・プレイス」など
・魅力的で衝撃的なオープニング、エンディングでのアイデア
「シー・ラブズ・ユー」のエンディングのシックスのコード。(シックスのコードはよくジャズに使われるコード)
スタジオで偶然生まれた、「アイ・フィール・ファイン」のイントロのフィードバック。
ミステイクになり他のアーティストならボツにする様なものでも、それが気に入ったら作品に取り入れ、面白い効果を演出しました。
イントロなしで歌から入る曲が多いのも彼らの特徴。「オール・マイ・ラヴィング」、「イット・ウォント・ビー・ロング」、などガツンと曲のイメージを印象づける。
「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼアー」の最初のカウント、ファーストアルバムの冒頭の1、2、3、4、これから全てが始まるんだ、というドキドキ 感、ワクワク感、このカウントがあるのと無いのとでは、全くアルバムの印象が変わると思います。
・「イエィ、イエィ、イエィ」の掛け声は初期のトレードマーク。エネルギッシュで一体感がでる。
・手拍子(ハンドクラップ)はサウンドに厚みを持たせ、リズムのノリが良くなる。
アンソロジー1やBBCライブには、初期ビートルズのユーモア、遊び心、若さ、エネルギーが満ち溢れ、「楽しさ」が目一杯詰め込まれています。まだ聴いたことのない方は、是非とも聴いてみてください。
中期、後期
4トラックレコーダーが導入され、レコーディング技術の進歩で様々なアイデアを形にする事ができました。ビートルズの創造性と遊び心がピークに達します。
・テープの逆回転や切り貼りやループなどて幻想的な雰囲気を演出した「トゥモロウ・ネバー・ノウズ」、「レイン」、など
・エフェクトを大胆に使った、「イエローサブマリン」、「アイ・アム・ザ・ウォーラス」、など
・「サージェント・ぺパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」はアルバム全体に独創的なアイデアと遊び心が溢れている。
ロック史上初のコンセプトアルバムで、最高傑作。単なる曲の寄せ集めだったアルバムにテーマと. 統一性をもたせ、ひとつの芸術作品まで昇華させた作品。
アレンジでは、前々作「ラバーソウル」から始まった音楽的実験を極限まで極めた作品。コンサート活動を休止して、時間を全てレコーディングに費やせるようにな り、様々なアイデアと遊び心を細部まで徹底的にこだわり、新しいポップ・アートとして具現化した。
何層にも音が重ねられ、様々なエフェクト、コラージュで彩られ、アルバム全体がカラフルで幻想的で万華鏡のような空間を作り出している。
エンディングには、犬にしか聞こえない音や、無限に音がループする工夫、最後まで聴く人を楽しませるアイデアが盛り込まれている。
・「レボリューション9」はコラージュ、エフェクト、テープの逆回転、なんでもありの遊び心満載の曲です。
ジョンの奇想天外な発想は天才的で、ビートルズの音楽的進化を加速させただけでなく、ポップミュージックの可能性を押し広げました。
・歌詞面では社会や人を皮肉たっぷりに歌った、「タックスマン」、「ピッキーズ」、ブラックユーモア調の「マックスウェルズ・シルバー・ハンマー」
・ビートルズが作った唯一のコミックソング、「ユウ・ノウ・マイ・ネーム」
ジョンとポールのお気に入りで、後年ポールはビートルズはもっとこういう曲を作るべきだったと語っています。
ビートルズの常識にとらわれない発想や遊び心が創造性となり、研ぎ澄まされた創造性が芸術作品となり、至高の芸術作品は、聴く者を人間の無限の可能性と未来の創造と宇宙の真理へと到達させてくれると思います。
ビートルズの音楽は、シェイクスピアやチャップリンのように、楽しみながら聴いていると、いつに間にか深い哲学的境地に誘ってくれます。
映画
映画に於いても、笑いと遊び心を追求しました。
特に笑いと遊び心に溢れているのは、「ア・ハード・デイズ・ナイト」、「ヘルプ」、「マジカル・ミステリー・ツアー」 です。
ア・ハード・デイズ・ナイト
『ア・ハード・デイズ・ナイト』(1964年)
監督: リチャード・レスター
ジャンル: コメディ、ミュージカル
内容
ビートルズの一日を描いたドキュメンタリー風のフィクション。彼らがコンサートに向かうのまでの騒々しいスケジュールやファンとのやり取りが描かれています。
特徴
・モノクロ映像を使用したスタイリッシュな映像美。
・ユーモアや遊び心が溢れるテンポの良い展開。
・彼らの音楽とキャラクターを前面に押し出し、観客にビートルズの親しみやすさを感じさせる。
・ビートルズの若く無鉄砲でありながら、知的でユーモラスな姿を映し出し、当時のファンに熱狂的に支持された。
ヘルプ!
『ヘルプ!』(1965年)
監督: リチャード・レスター
ジャンル: スパイ・コメディ、ミュージカル
内容
ビートルズのメンバーが不思議な指輪を巡ってカルト教団や政府のエージェントに追われるスリル満点のコメディ。
特徴
・カラフルな映像美が目立ち、ユーモアとアクションが組み合わさったスラップスティック・コメディ。アクション映画やスパイ映画のパロディとしての側面もあり、ビートルズが世界中を飛び回り、さまざまな危険な状況に巻き込まれます。シュールでコミカルな展開が続く中でも、アクションシーンや追跡劇が頻繁に登場します。
・リンゴが今回の映画では中心的な役割を果たし、物語の焦点となる人物。彼のユーモアと「困った状況に置かれるが、どこか愛される」キャラクターが特に強調されています。
マジカル・ミステリー・ツアー
『マジカル・ミステリー・ツアー』(1967年)
監督: ビートルズ自身
ジャンル: サイケデリック、ミュージカル
内容
ビートルズが「不思議なバスツアー」に参加し、シュールでサイケデリックな冒険を繰り広げる物語。
特徴
・サイケデリックな映像表現が多用され、当時のカウンターカルチャーや精神世界の探求を反映している。
・ストーリーは即興的で、シーンごとに異なるスタイルやテーマが展開され、規則性に乏しい実験的な作品。
・音楽はもちろん、ビジュアルもサイケデリック時代の象徴。物語性よりも視覚的、音楽的な要素に重点を置いており、後のMTVやミュージックビデオにおける「音楽と映像の融合」の原点的な作品である。
映像作品で見せる彼らの知的で皮肉めいたユーモアは、権威主義を嘲笑し、社会や伝統を風刺し、茶化しました。その自立し挑発的な姿が、当時の若者に熱狂的に支持されました。
画面から若さとユーモアと創造性が飛び出して来るほどのエネルギーを感じるね。
文化
文化的な影響として、ビートルズの遊び心は当時の流行を変えました。
ファション
初期のビートルズを象徴するのがマシュルームカットと襟なしスーツですが、当時としては斬新なこれらのスタイルにも彼らの遊び心が表現されています。
また、マッシュルームカットや襟無しスーツは、60年代の若者たちが自己表現を重視する中で「新しい自分」を見つける手段となり、ファッションを通じた社会的変革にもつながりました。ビートルズは、音楽だけでなく、ファッションやライフスタイルにおいてもカウンターカルチャーを象徴する存在として、当時の若者文化に大きな影響を与えました。
ギター
ビートルズがデューした頃は、ギターバンドはもう時代遅れと言われていました。しかし、ビートルズ人気が世界中に広がり、加速するにつれ、ギターが飛ぶように売れるようになりました。
多くの若者がギターを手に取り、ビートルズのように曲を作り、歌を歌い、自分たちもビートルズのようになれるんだ、自分たちも好きなことをして生きて行ってもいいんだと、彼らに夢と未来への可能性を切り拓きました。そして、後世のシンガーソングライターやバンドブームの火付け役になりました。
ビートルズの自分たちが面白いと思うことをやる。やりたい事をやりたいようにやる精神に時代が呼応し、新しい文化の形を創造したね。それが、21世紀に続くエンターテインメントの原型になったね。まさに原点にして頂点な存在。
まとめ
ビートルズは、権威主義や理性的にシステム化された世の中を破壊し、全ての人が自由で平等で、誰でもスターになれて、誰でも自分の夢を叶えられるんだと、新しい価値観を世の中に広めました。
そして、愛と笑いと喜びで世界に革命を起こしました。
世の中に喜びと笑いを振りまき、この世界を分断する閉塞的な壁を取り払い、音楽的、地政学的、経済的、思想的、文化的に一つにしました。
武器をつかわず、血をながさず、憎悪や悲しみを生み出さず、愛と笑いと喜びで、世界を変えました。
以上がビートルズと笑い、遊び心についての私なりの考察です。
ビートルズが登場する前と後では、世界線が変化したよね。次元が何段階か上昇した世界になった気がするね。
ビートルズは教えてくれた
2024年の今現在、世界は確実に
終末に向かって、駆け足で辿り着こうとしてます。
第三次世界大戦、パンデミック、ワクチン、経済崩壊、異常気象、天変地異、太陽フレア、食料危機、人心の荒廃、世の中をリセットする要因が目の前まで迫って来てます。
明日、世界の終わりが来ても、まったく不思議ではない状況です。
私達は、この終末の時代を生き抜いていく術を身につける必要があります。
では、これから確実にやってくる激動の時代を渡り歩いて行くために、何が必要か?
水、食料、備蓄、お金、畑、井戸、仲間、これら全て大事です。
しかし、いつ始まり、いつ終わるか分からない混乱期、途中で挫けず諦めず、新しい時代に辿り着くために最も必要なのは、何なのか?
それは、今起こっている全てのことを受け入れ、感謝し楽しむ心を持つことです。そして現状を笑い飛ばし、いつも遊び心を持つことです。
弥勒菩薩は、ブッタ入滅後56億7千万年後の未来にこの世界に現れ悟りを開き、多くの人々を救済するらしいです。
天に昇ったとされるイエス・キリストは世界の終わりの日に、キリスト教徒を天へ導き入れるため、また世界を義をもって裁くために、再び地上に降りてくるらしいです。
しかし、救世主はいくら待っても現れてこないでしょう。
誰もこの世界を救ってくれないでしょう。
なぜなら、この世界を変えることができるのは、私たちを本当に幸せにできるのは、私たち自身だからです。
この現実を作り出しているのは、私たち自身だからです。私たちの想いがこの世界を作り出しているのです。
だとしたら、私たちが幸せで喜び溢れる世界で生きていきたいなら、そういう世界を想い、具体的にイメージして、絶対実現すると確信すればいいのです。
ジョン・レノンは、『イマジン』で想像することの重要さを歌っています。
ビートルズは教えてくれています。
ビートルズの音楽が、思想が、生き方が、何気ない会話が、彼らの存在全てが、いつも語りかけてくれています。
私たちに常に自立し、自由でいろと、愛と笑顔と喜びで人生生きろと。
想いを実現する上で最も大切なことは、心を解放することです。まっさらな心を持つことです。『空』意識です。そのためには、笑い、遊び心を常に持ち、生きていくことがが重要になってきます。
笑いは人間が持つ最も素晴らしい能力です。宇宙が人間に求めているものは笑い、喜びだと思います。
ビートルズを聴くとみんな笑顔になれるよ。そして淡々と続く日常の中で忘れかけていた、本当の自分を取り戻してくれるよ。
総論
ビートルズの
・バランス感覚
・変化、進化
・笑い、遊び心
を考察してみて、結局、私にとってビートルズとは何なのかというと、宇宙そのものという結論になってしまいます。
ミュージシャン、アーティスト、アイドル、思想家、革命家、コメディアン、全てを包み込み、全てを超越した宇宙そのものです。
この宇宙を創った創造主が4人の若者になり、1960年代のイギリスに現れ、ギターを持ち、歌を歌い、世界を熱狂の渦に巻き込み、至高の芸術作品を創りあげました。
近代文明が行き詰まりつつあり、崩壊の兆しが見え始めていた時代に、世界を救うために地球に降り立ち、人々の心を解放し、楽しさと喜びを届け、「ラブアンドピース」を世界に広めました。
ジョン・レノンは雑誌のインタヴューで「若者にとってビートルズはキリストより有名だ」という発言をして、大きな波紋を呼びました。
しかし、今の世の中が本当に求めているのは、常に争いの火種になっているキリスト教ではなく、愛と笑いと喜びを与えてくれるビートルズであることは間違いないと思います。
少なくとも私にとっては、ビートルズはキリストより圧倒的に有名であります。
ビートルズこそ、この世界の終わりに現れた本当の救世主なのだと思います。
みんなもビートルズの宇宙を旅してみてね。